この記事の結論
- 妊娠中・産後は体調の変化が大きく、防災グッズも時期に合わせた見直しが必要になる
- 母子健康手帳のコピーや、かかりつけ産婦人科の連絡先は必ず備えに含めておきたい
- 産後は体が回復している途中であることを踏まえ、産褥用品や授乳関連の備えを多めに用意する
- 体調や症状について気になることがあれば、必ずかかりつけ医・産婦人科に確認する
防災グッズの中に「女性向け」の項目があっても、妊娠中や産後という時期に絞って詳しく触れられていることは意外と少ないものです。
つわりや体重の変化、産後の体の回復など、この時期特有の事情に合わせて、備えの中身を見直しておくと安心です。
この記事では、妊娠中から産後にかけて見直しておきたい防災グッズを、時期ごとの考え方に分けて紹介します。
妊娠中・産後は、防災グッズにも「その人だけの事情」が増える時期
同じ「女性の防災グッズ」というくくりでも、妊娠中・産後は体そのものの状態が大きく変化する時期にあたります。
厚生労働省の「災害発生時における母子保健対策に関するマニュアル等について」でも、妊産婦・乳幼児は災害時に配慮が必要な対象として位置づけられています。
体調の変化が大きい時期だからこそ備えが必要
妊娠中は体重や体形が変化していくだけでなく、つわりや貧血など、体調そのものが不安定になりやすい時期でもあります。
産後も出産による体への負担が残っている状態のため、「元の体調に戻っている前提」で備えを考えないことが大切です。
産後6〜8週間程度は「産褥期」と呼ばれ、体が妊娠前の状態に戻っていく回復期間にあたるとされています。
一般的な女性向けの備えとは別に考えたいこと
生理用品や防犯面など、女性全般に共通する備えについては、女性におすすめの防災グッズで紹介しており、その記事では「妊娠中の方は母子健康手帳のコピーを、授乳中の方は液体ミルクや哺乳瓶を」という基本の1行に触れています。
この記事では、その1行をさらに掘り下げ、何をどこまで・どれくらい備えておくべきかという具体的な中身を紹介します。
妊娠中に備えておきたいもの
妊娠中は、医療情報の持ち出しと、体を冷やさない工夫の2点を軸に備えを考えます。
母子健康手帳のコピーと医療情報
母子健康手帳は、妊娠週数や健診の経過、血液型、既往症、アレルギーの有無など、災害時に医療関係者へ伝えたい情報がまとまった、いわば災害時のカルテ代わりになる記録です。
コピーしておきたいのは、表紙の基本情報のページ、妊娠経過(健診記録)のページ、血液型・アレルギー・既往症を記入したページの3か所が中心です。
原本は普段使うバッグに、コピーは防災グッズにと分けて置いておくと、片方を持ち出せない状況でも情報が手元に残ります。

体を締め付けない・冷やさない衣類
お腹を締め付けない、ゆったりとした衣類を1〜2枚と、使い捨てカイロを5〜6個程度、体を冷やさないための備えとして用意しておきましょう。
避難所は季節によって空調が十分でない場合もあるため、体温調整のしやすさを意識して、羽織れるショールやレッグウォーマーなどもあわせて選ぶと安心です。

産後・授乳期に備えておきたいもの
産後は、母体そのもののケアと、授乳にまつわる備えの2つに分けて考えます。
産褥用品・生理用品を多めに
産後しばらくは悪露(おろ)と呼ばれる出血が続くため、産褥用のナプキンや、大きめの生理用品を多めに備えておくと安心です。
避難所ではすぐに買い足せない可能性もあるため、普段使っている枚数の1.5倍程度を目安に用意しておくことをおすすめします。

授乳ケープ・乳房トラブル・哺乳瓶の衛生管理
赤ちゃん自身の粉ミルク・おむつなどの持ち物は赤ちゃん・小さな子どもがいる家庭の防災グッズで紹介しているため、ここでは母体側の視点に絞って紹介します。
避難所では授乳のためのスペースが確保しにくいこともあるため、授乳ケープを1枚用意しておくと、周囲を気にせず授乳がしやすくなります。
災害時のストレスや環境の変化で、乳房の張りや痛みといったトラブルが起きることもあるため、困ったときは自己判断せず避難所を巡回する助産師や保健師に相談するという選択肢を知っておきましょう。
水が十分に使えない状況では、哺乳瓶を毎回煮沸消毒するのが難しくなるため、使い切りタイプの使い捨て哺乳瓶や、消毒不要のディスポーザブル乳首を1〜2セット備えておくと安心です。

出産予定日が近い場合に考えておきたいこと
出産予定日の1〜2か月前になったら、入院と防災を切り分けずに準備しておくと安心です。
入院バッグと防災グッズの重なる部分
出産予定日が近い時期は、入院バッグの中身と防災グッズの中身が重なる部分が多くあります。
2つを別々に準備するより、1つのバッグにまとめて、すぐに持ち出せる場所に置いておくという考え方もあります。
かかりつけ産婦人科に確認しておきたいこと
災害時に通常の受診ができなくなった場合の対応について、かかりつけの産婦人科に事前に確認できることもあります。
母子健康手帳の別のページに記載された緊急連絡先や、分娩予定施設が被災した場合の受け入れ先についても、健診のタイミングで一度尋ねておくと安心材料になります。
出産予定日が近い時期の被災は、通常の備え以上に医療機関との連携が重要になります。
気になることがあれば、早めにかかりつけの産婦人科へ相談しておきましょう。
避難生活で妊産婦が困りやすいこと
内閣府男女共同参画局の「災害対応力を強化する女性の視点〜男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン〜」でも、避難生活における女性の視点を反映した対応の必要性が指摘されています。
妊産婦の場合、特にプライバシーや休養の確保が難しくなりやすいことは、東京都福祉局「妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドライン」や、愛知県「妊産婦・乳幼児を守る 災害時ガイドライン」でも取り上げられています。
プライバシー・休養の確保という視点
授乳や着替えのためのスペースが確保しにくい避難所もあるため、簡易的な目隠しになるショールやポンチョなどを備えておくと役立ちます。

これらのガイドラインは、自治体で防災対策に関わる人向けに、妊産婦・乳幼児への配慮の留意点をまとめた資料です。
体育館のような大部屋の避難所内に福祉避難室・母子スペースが用意されるかは、自治体や避難所ごとに違うため、避難時には受付でその有無を確認するとよいでしょう。
困ったときの相談先を知っておく
避難所には、保健師や助産師による巡回相談が設けられる場合もあります。
一人で抱え込まず、体調や育児について気になることがあれば、避難所の運営スタッフや自治体の窓口に相談してみましょう。
時期別に見る備えの早見表
ここまで紹介した内容を、妊娠初期から産後数か月までの4つの時期に整理すると、次のようになります。
| 時期 | 意識したいこと | 備えの中心 |
|---|---|---|
| 妊娠初期 | つわり・体調の急な変化 | 母子健康手帳のコピー、吐き気対策の飴・冷却シート |
| 妊娠中期・後期 | 体の冷え・お腹の締め付け | ゆったりした衣類、カイロ、入院バッグとの兼用準備 |
| 産後直後(産褥期) | 体の回復・出血への対応 | 産褥用ナプキン多め、授乳ケープ、相談先の連絡先 |
| 産後数か月 | 授乳・赤ちゃんとの同時避難 | 使い捨て哺乳瓶、液体ミルク、乳幼児グッズとの併用 |
自分が今どの時期にいるかによって優先順位が変わるため、母子健康手帳を見直すタイミングであわせて防災グッズも点検するのがおすすめです。
まとめ
妊娠中・産後は、体調の変化に合わせて防災グッズの中身も見直しておきたい時期です。
母子健康手帳のコピーやかかりつけ医の連絡先など、この時期ならではの備えを追加しておくと安心です。
体調について気になることがあれば、自己判断せず、必ずかかりつけの産婦人科に相談するようにしてください。
今日のアクション
- 母子健康手帳のコピーを防災グッズに追加する
- 産褥用品・授乳関連グッズの数量を見直す
- かかりつけ産婦人科の連絡先を防災グッズにメモしておく


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