この記事の結論
- 東京都などの条例では、企業に対して従業員1人あたり3日分の備蓄が呼びかけられている
- 会社としての備えに加えて、デスクや引き出しに入るサイズの個人用の備えがあると安心できる
- 「一斉帰宅抑制」の考え方を知っておくと、無理に歩いて帰ろうとせずに済む
- 自宅までの距離がおおむね10km以内かどうかが、徒歩帰宅を考えるときの目安の一つになる
防災グッズというと、自宅の収納をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、平日の日中に災害が起きた場合、そのとき自分がいるのは自宅ではなく職場やオフィスであることも多いはずです。
この記事では、職場・オフィスで備えておきたい防災グッズと、帰宅困難者にならないための判断基準を紹介します。
なぜ職場・オフィスにも防災グッズが必要なのか
平日の日中は、1日のうち8時間前後を職場で過ごす人も多く、自宅の備えだけではその時間帯をカバーできません。
まずは、会社に求められている備蓄と、個人が用意しておきたい備えの違いを確認しておきましょう。
発災時に自宅にいない時間は意外と長い
平日の日中、多くの人は通勤・通学や仕事のために自宅を離れています。
シーン別防災グッズ診断でも触れているとおり、災害はどのシーンで自分がいるかを選べないため、自宅用とは別に職場用の備えも必要になります。
企業に求められている備蓄と、個人の備えの違い
東京都帰宅困難者対策条例では、従業員1人あたり3日分の水・食料などの備蓄が企業の努力義務として呼びかけられています。
目安として、食料9食・水9リットル・毛布1枚が1人あたりの基準として案内されています。
会社としての備えがあっても、非常時は在庫が全員に行き渡らない可能性もあるため、個人でもデスク周りに最低限の備えをしておくと安心です。
デスク周りに備えておきたいもの
デスクの引き出しやロッカーという限られたスペースでも、一晩を過ごすための最低限セットと、身を守る防護アイテム、情報収集の手段の3つは用意できます。
カテゴリ別に、何をどのくらい用意すればいいかを見ていきましょう。
一晩過ごすための最低限セット
デスクの引き出しやロッカーに入るサイズを前提に、水・1〜2食分の非常食・携帯トイレ・アルミブランケットを1セット用意しておくと、一晩を職場で過ごすことになっても対応しやすくなります。

かさばる水は500ml程度のペットボトル1〜2本でも、何もない状態とは大きな差になります。
自宅用の防災グッズの基本リストの中身を、職場で過ごす一晩分に絞り込んだイメージで用意すると、選ぶときに迷いにくくなります。
デスク下に置くスペースの目安とロッカーがない場合の工夫
折りたたみ式のスニーカー・簡易ヘルメット・軍手をまとめて用意する場合、目安になるのはA4サイズのファイルボックス1つ分のスペースです。
このサイズに収めておくと、デスク下や足元の隙間にも置きやすくなります。
フリーアドレス制で個人専用のロッカーがない職場では、自分専用の収納を確保しづらいことがあります。
その場合は、通勤バッグにそのまま入れておける薄型タイプを選ぶか、共有ロッカーの空きスペースに小さめのポーチでまとめておくと、置き場所に困りにくくなります。
情報収集・連絡手段
停電時にはスマートフォンの充電が持たなくなるため、モバイルバッテリーや手回し充電式のラジオもデスク周りにあると安心です。

家族との安否確認の方法は、防災グッズを使った家族での防災訓練で紹介している災害用伝言ダイヤル171の使い方も、事前に確認しておくと落ち着いて行動できます。
帰宅困難者にならないための判断基準
帰宅が難しくなったとき、無理に歩き出すかその場にとどまるかは、距離と状況から判断します。
自宅までおおむね10km以内かどうかという距離の目安と、その場にとどまるという判断について紹介します。
一斉帰宅抑制とは何か
大規模な災害が起きた直後は、大勢の人が一斉に歩いて帰宅しようとすると、道路が混雑して救助・消火活動の妨げになる恐れがあります。
この混乱を防ぐため、「むやみに移動を開始しない」という一斉帰宅抑制の考え方が呼びかけられています。
徒歩で帰れる距離の目安
内閣府の資料では、自宅までの距離が10km以内であれば帰宅可能な人が多く、10kmを超えると1kmごとに帰宅可能な人の割合が下がっていくとされています。
20kmを超えると、多くの人にとって徒歩での帰宅が難しい距離になるとされています。
あくまで目安の数字であり、実際の震災時は道路状況や体力によって歩ける距離は変わります。
「災害時帰宅支援ステーション」を知っておく
コンビニやガソリンスタンド、ファミリーレストランなどの中には、自治体と「災害時帰宅支援ステーション」の協定を結んでいる店舗があります。
協定店舗では、水道水の提供やトイレの使用、地図やラジオで得た道路の通行状況といった情報の提供を、可能な範囲で受けられることになっています。
店頭にステッカーやのぼりなどの目印が掲示されている場合が多いため、実際に徒歩で帰宅する場面になったら、目印のある店舗を休憩や情報収集のポイントとして活用できます。
「その場にとどまる」も立派な選択肢
職場や外出先の建物が安全な状態であれば、無理に歩いて帰ろうとせず、その場にとどまることも選択肢の一つです。

東京都をはじめとする自治体の帰宅困難者対策条例では、発災後3日間は一斉帰宅を抑制し、企業側にも従業員をその場に待機させる対応が求められています。
「会社に3日間いることになるかもしれない」という前提を、上長やチームで平常時に一言話しておくと、実際にその場にとどまる判断をしたときの気持ちの負担も軽くなります。
周囲の状況や交通機関の運行情報を確認し、安全が確保できてから落ち着いて行動するようにしましょう。
迷ったときは、無理に移動しないことを優先してください。
会社・オフィス全体の備えも確認しておく
個人の備えに加えて、勤務先の自治体が指定する一時滞在施設の情報や、家族との安否確認の方法も、平常時に確認しておきたいポイントです。
この2点を押さえておくと、実際にオフィスにとどまる判断をしたときも落ち着いて行動しやすくなります。
一時滞在施設の情報を確認しておく
自治体は、外出先で帰宅が難しくなった人を受け入れる「一時滞在施設」を指定している場合があります。
勤務先や外出先の自治体がどのような施設を用意しているかを、平常時に一度調べておくと落ち着いて行動しやすくなります。
家族との安否確認方法を決めておく
職場にとどまる判断をした場合、家族が心配して無理に移動しようとしないよう、事前に安否確認の方法を家族と決めておくことも大切です。
在宅避難を選ぶ家族側の考え方については、在宅避難と避難所、どちらが安心?も参考にしてください。
まとめ
職場・オフィスの防災グッズは、会社としての備えに加えて、デスクや引き出しに入る個人用の備えを少し用意しておくことがポイントです。
帰宅困難になった場合は、一斉帰宅抑制の考え方を思い出し、無理に歩いて帰ろうとせず、安全が確認できてから行動しましょう。
自宅・車・職場など複数の場所に少しずつ備えを分散させる考え方については、別の記事で詳しく解説する予定です。
まずはデスクの引き出しに、何もないよりましと言えるレベルの備えを1つ置いてみてください。
今日のアクション
- デスクの引き出しやロッカーに、水・非常食・簡易トイレのどれかを1つ置いてみる
- 自宅までの距離がおおむね何kmくらいか、一度地図で確認しておく
- 勤務先の自治体が指定する一時滞在施設の情報を調べてみる



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